プロローグ
真夏の午後、セミの鳴き声が耳を埋め尽くす中、七瀬凛はいつものように友達と笑いながら帰路についていた。
青空の下、蝉しぐれとアスファルトの熱気が、まるで世界を包み込むかのように広がっている。
そんな、ごく当たり前の景色——これが突然、すべて変わるとは、誰が想像できただろう。
それは、自宅へ向け帰路の途中。
校門から少し離れた横断歩道の信号が青に変わった瞬間、彼女の視界は一面の黄金色の光に包まれた。
突然の光が消えた刹那——灼熱の風が頬を打ち、目の前に広がるのは見渡す限りの砂丘と、巨大な影。
鋭い牙を持つトカゲのような怪物が、自分を睨みつけている——。
「!? なに、ここ…どこ?」
気づけば、着ていた制服はいつの間にか砂色の軽装に変わっていた。
足元を焦がす砂の熱、遠くで渦を巻く砂嵐。
胸の鼓動は速まり、膝が崩れそうになる。
「……なんで、私が?
ダメ! まずはあれから逃げないと。でも、どうやって…」
現代と異世界。
青春と冒険。


